闇に濁る淵から ジョン・マッデン |
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作家 | レニー・エアース |
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出版日 | 2007年02月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 6点 | 猫サーカス | |
(2021/02/15 18:01登録) イギリス南東部ののどかな美しい村で、少女がレイプされ死体となって発見された。第一発見者のマッデンは、かつてロンドン警視庁の敏腕警部補だったが、女医ヘレンと再婚したのをきっかけに職を辞し、現在は農業主をしていた。マッデンを優秀な捜査官たらしめているのは「自分たちが拝命している職業はただの手間仕事ではない、気遣い、思いやることなのだ」という信念だった。マッデンは警察の捜査の傍らから見守り、緻密な推理を展開し有益な助言をする。やがて浮かび上がってきたのは意外な容疑者だった。スリリングな犯人との攻防も読ませるが、何よりも人間として奥行きのあるマッデンをはじめ、脇役にいたるまで魅力的な登場人物の造形が素晴らしい。とりわけマッデン夫妻の強い絆と愛情は胸を打つ。豊かな自然を舞台に、人間ドラマを堪能できた。 |