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ミステリの祭典

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銀齢の果て

作家 筒井康隆
出版日2006年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 tider-tiger
(2022/06/04 15:04登録)
~高齢化社会解消のために政府が導入した「老人相互処刑制度」
この制度により日本各地で老人同士の殺戮合戦が発生する。~

『バトルロワイヤル』を老人でやってみましたと簡単に説明できる話ではあるが、読み味はぜんぜん違いますな。
本家と読み比べてみるといろいろな意味で面白い。
筒井康隆という人はセンスとアイデアで勝負しているような印象が強いが、実際は書き方にも相当気を配っているんだろうなあと改めて思わされる。
コミカルにグロだが、くどくど書いたりさっぱり書いたりの緩急があって、妙なところに格調もあったりして、さほど過剰には感じない。
エンタメとしては老人同士の狡猾な騙し合い、工夫の凝らされた戦闘手段、さらには心理描写も面白い。
本家と同様に殺し合いの連続が中だるみを生んでいるきらいはあるが、ラストは圧巻。
本家はリアリティがなくて空々しい印象があったが、こちらはリアリティはないのに妙に生々しい。バトルに参加していない周囲の人々がなんだか怖ろしい。
まったく感動はしないが、ちょっと考えてしまう。

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