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ミステリの祭典

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星空にパレット

作家 安萬純一
出版日2021年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 nukkam
(2021/08/15 22:58登録)
(ネタバレなしです) 創元推理文庫版で「純度百パーセントのミステリ短編集」と紹介されている2021年発表の短編集です。こういう宣伝文句が付くというのは本格派推理小説の人気が上がっているのでしょうか(個人的にはそうあってほしい)。探偵役が全部異なる、短編としてはやや多めで中編としてはやや少なめの60ページから70ページ規模の作品が4つ収められてます。「黒いアキレス」は高校生トリオが探偵役で、はずれ推理を刑事から「子供の遊びじゃないんだ」と批判されながらもどんどん核心に向かっていく展開が楽しいです。「夏の北斗七星」はどんでん返しの謎解きも面白いですが、とんでもない結末をさらりと書いているのが却ってインパクトを強めています。個人的には1番印象に残る作品です。「谷間のカシオペア」は作中作を挿入して作品世界と現実世界の謎解きを構築しているだけでなく、推理小説においてフェアかアンフェアかの議論がつきまとう問題に対する模範解答を目指した意欲作です。これを短編でまとめるのはやや厳しかったか、作中作の推理は緻密で丁寧ですが現実世界の事件の解決は唐突かつ性急過ぎてすっきりするよりも呆気にとられましたが。「病院の人魚姫」も解決が強引気味で、犯人の行動が突飛過ぎで納得しにくかったです。でも確かにどの作品も純度百パーセントの謎解きで、読んでいる間は十分以上に楽しめました。

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