| 星空にパレット |
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| 作家 | 安萬純一 |
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| 出版日 | 2021年01月 |
| 平均点 | 6.50点 |
| 書評数 | 2人 |
| No.2 | 7点 | E-BANKER | |
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(2026/03/08 11:24登録) 「星空にパレット」というタイトルどおり、各編に星空にちなんだ短編が並んだ・・・と思ってたら、関係ないじゃないか! 第一話と第四話は! まあいいか・・・。ということで作者のノンシリーズ作品集。 2021年の発表。 ①「黒いアキレス」=舞台は高校の校舎とグランド。そして隣地の倉庫。黒覆面の男が現金入りの封筒を盗んだ次の日、またも現れた黒覆面の男はなんと殺人までも実行してしまう! しかも現場は密室状態? 「黒覆面」ということは当然人物の入れ替わりが想定されるのだが? ②「夏の北斗七星」=舞台は七棟のコテージが並べられた宿泊施設。「訳あり」っぽい宿泊客が集められ、似顔絵を書かれた夜、殺人事件が起こる。偶然居合わせた元警官が鋭い推理を披露し、事件は解決したかに思えたが・・・ ③「谷間のカシオペア」=これが本作中NO.1の出来(と思った)。スナック(クラブ?)の女性店員が殺害され、容疑者がその日出勤していた男1と女4。各人のアリバイを綿密に検討し真犯人を炙り出すという、実にオーソドックスなミステリ。なのだが、逆にそれが好ましかった。(でもタイトルの意味は「そこかよ!」) ④「病院の人魚姫」=舞台は総合病院。屋上から飛び降りた女性の死体。自殺か事故か、はたまた殺人か?という展開。真相は思わぬ一〇二〇なのだが、いくらなんでもそれはバレるだろ!って気がするけどなあー。トリックも若干無理がある。 以上4編。 これは掘り出し物。予想以上に面白かった。 作者の作品では一番じゃないかな。突飛な設定や見たことない趣向なんてものはなく、純粋な「謎解き」短編に特化していて、シンプルに面白い。そんな作品集。 これだけの水準の短編集なら、他の方にもお勧めできる。 奇をてらわなくても、面白いものは面白い。 これでいいのだ。 |
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| No.1 | 6点 | nukkam | |
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(2021/08/15 22:58登録) (ネタバレなしです) 創元推理文庫版で「純度百パーセントのミステリ短編集」と紹介されている2021年発表の短編集です。こういう宣伝文句が付くというのは本格派推理小説の人気が上がっているのでしょうか(個人的にはそうあってほしい)。探偵役が全部異なる、短編としてはやや多めで中編としてはやや少なめの60ページから70ページ規模の作品が4つ収められてます。「黒いアキレス」は高校生トリオが探偵役で、はずれ推理を刑事から「子供の遊びじゃないんだ」と批判されながらもどんどん核心に向かっていく展開が楽しいです。「夏の北斗七星」はどんでん返しの謎解きも面白いですが、とんでもない結末をさらりと書いているのが却ってインパクトを強めています。個人的には1番印象に残る作品です。「谷間のカシオペア」は作中作を挿入して作品世界と現実世界の謎解きを構築しているだけでなく、推理小説においてフェアかアンフェアかの議論がつきまとう問題に対する模範解答を目指した意欲作です。これを短編でまとめるのはやや厳しかったか、作中作の推理は緻密で丁寧ですが現実世界の事件の解決は唐突かつ性急過ぎてすっきりするよりも呆気にとられましたが。「病院の人魚姫」も解決が強引気味で、犯人の行動が突飛過ぎで納得しにくかったです。でも確かにどの作品も純度百パーセントの謎解きで、読んでいる間は十分以上に楽しめました。 |
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