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ミステリの祭典

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸
みーまーシリーズ

作家 入間人間
出版日2007年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2021/02/08 22:28登録)
御園マユ。僕のクラスメイトで、聡明で、とても美人さんで、すごく大切なひと。彼女は今、僕の隣にちょこんと座り、無邪気に笑っている。リビングで、マユと一緒に見ているテレビでは、平穏な我が街で起こった誘拐事件の概要が流れていた。誘拐は、ある意味殺人より性悪な犯罪だ。殺人は本人が死んで終了だけど、誘拐は、解放されてから続いてしまう。ズレた人生を、続けなければいけない。修正不可能なのに。理解出来なくなった、人の普通ってやつに隷属しながら。―あ、そういえば。今度時間があれば、質問してみよう。まーちゃん、キミは何で、あの子達を誘拐したんですか。って。第13回電撃小説大賞の最終選考会で物議を醸した問題作登場。
『BOOK』データベースより。

故意に読みづらく書いているとしか思えないごつごつした文体。無機質で人間味のないみーくん。情緒どうなってんねんと思うくらい壊れているまーちゃん。どれを取っても好感が持てません。小さな町で同時に起こった連続殺人事件と誘拐事件を扱っていますが、一方は最初からネタバレしていますし、他方は最後の最後まで犯人を指摘するための伏線はなし、ミステリとして評価できませんね。

三章まではまーちゃんが誘拐した子供達とみーくんとの心許ないふれあいを中心に物語は進みます。全然紆余曲折などはありません、しつこい位比喩を多用したねちっこい文章で、正直一体何がしたいんだと思いました。しかし四章で突如として目覚めたように動き出します。結局そこに惹かれて加点した訳ですが、全体として粗削りな感は否めません。
これが2年で19版も重版されたとは俄かには信じがたいものがあります。それ程受けたのでしょうか、おそらく若年層中心でしょうが、一般受けするとはとても思えませんねえ。

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