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ミステリの祭典

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復讐執行人

作家 大石圭
出版日2012年12月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2021/02/06 22:56登録)
香月健太は33歳。3つ下の妻と5歳と6歳の娘たちと4人で横浜市郊外の住宅地に暮らし、大手家電メーカーの横浜営業所にサービスエンジニアとして勤務している。平凡でありきたりの毎日だったが、香月健太は心の底から幸せだった。あの男が現れるまでは……。明日から家族旅行へ行くという夜、事件は起きた──。
Amazon内容紹介より。

グロ少な目エロ多目です。被害者香月健太が三人称、加害者の「僕」が一人称で、これらが交互に描写される、ちょっと変わった構成となっています。どちらにも感情移入できる仕様で、私は迷いながら結局あちらにこちらにと両者にフラフラと行き来してしまいました。冒頭からいきなり加害者の暴虐ぶりが露わになり、若干付いて行けない感もあったりしてモヤモヤしつつ進行します。そして更なる家族が狙われ、ミステリ的に言えばミッシングリンク物と言えるでしょうか。果たして二つの家族を繋ぐ線は何なのか?

思ったよりも後味は悪くありませんでした。所々に感動できるポイントが用意されており、ハードな面ばかりがフューチャーされる訳ではなく、どこか感傷的なシーンも挿入されて、抑揚が確りしています。作者の名前で先入観を持たずフラットな気持ちで読んでいただきたい作品ですね。加害者の一人称はこの人の得意とするジャンルですが、今回は被害者側の立場にも立っていて、両面から心理描写がなされて十分楽しめました。

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