華やかな迷路 |
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作家 | 笹沢左保 |
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出版日 | 1982年01月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 5点 | 人並由真 | |
(2021/02/04 05:25登録) (ネタバレなし) 広告代理店「大報」の美人プランナーで27歳の正見亜衣子は、業務で知り合った超大手デパート「丸越」の常務で社長の次男でもある青年・船尾昭彦に見初められて婚約した。だがそんな玉の輿に乗った亜衣子のもとに「お前の過去を知っている。結婚はやめろ」という主意の匿名の脅迫状が送られてくる。文書の主は、過去から現在までに肉体関係のあった3人の男のうちの誰かか? あるいはプラトニックラブな関係のまま、唯一、本気で愛し合ったかつての恋人か? 亜衣子は、手紙の主を調べようとするが。 あー。限りなくフツー小説に近い、いつもの笹沢風・叙情エロチックサスペンスであった(とはいっても全然ハラハラもゾクゾクもせず<サスペンス>じゃないが)。 80年代の中間小説っぽい路線だから、もともと謎の部分の興味ではあんまし期待してなかったけれど、脅迫状の差出人も前半で正体をヨメない人はいないはずで、ヤワすぎるよね。 それでも一応は人死に事件はあり、終盤にまた別の意外性も用意はされていて、ミステリとしての最低限の体裁だけはとられてはいるか。 とはいえ、この女性主人公のキャラクターで、23~24歳まで(中略)だったというところに、いくら性愛描写に紙幅を費やそうとも、実はどこまでも根がジュンジョーな笹沢の女性観の一端がうかがえる。 作者のひとつの顔を再確認するという意味では、ファンには興味深……くもないか。 たぶんこの手の傾向のこのレベルの作品なら、まだまだ他にもいっぱいあるだろうし。 しかし「丸越デパート」というネーミングには笑ったね。この世界では、10年くらい前にハレンチ大戦争が勃発していたのだろうか。 (ラストで教育軍団長にトドメを差したマルゴシ先生は、カッコイイ男であった。) |