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ミステリの祭典

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作家 安部公房
出版日1954年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 虫暮部
(2021/02/03 12:00登録)
「第一部 S・カルマ氏の犯罪」は裁判ネタ。フランツ・カフカ『審判』よりはかなり読み易くストレートに楽しめる。
 第一部と言っても本書は長編ではなく中短編のアンソロジーに近く、中でも「洪水」が面白い。全体を纏めるものとして『壁』と掲げたのは、読者にとっては親切な道標でも、作者にしてみれば割り切りを強いられたようなものだったのでは。ピンク・フロイドの壁は“分断”だけれど、こちらは“固定”。輪郭が消えてしまうと何処までが自分だか判らなくなっちゃうんだよね。

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