(2021/01/26 20:38登録)
(ネタバレなしです) 1942年発表のジョニー・フレッチャー&サム・クラッグシリーズ第7作のユーモア・ハードボイルドです。舞台となるホテルは何と「フランス鍵の秘密」(1940年)で殺人事件に巻き込まれたのと同じホテルではないですか。そしてジョニーとサムはこのホテルで再び死体とご対面です。後年の「噂のレコード原盤の秘密」(1947年)でもこのホテルは登場、2人にとってよほどのお気に入りの場所なんでしょうね。さて本書のタイトルに使われている怪力男デクノボーとは漫画の主人公の名前です(なぜヒーローにそんな名前を?)。怪力といえば何たってサム・クラッグ、これまでの作品でも怪力ぶりを見せてますが本書ではいつも以上に大活躍、ジョニーが霞んでしまうほどです。終盤は登場人物リストに載ってない悪人が大勢登場して殺人犯探しが置いてけぼりになりますが最後はやはりジョニーの出番、「犯人は最初からわかっていた」と啖呵を切る場面では本格派推理小説好きの私としては期待が高まります。しかし肝心の説明は「えっ、それが推理の根拠?それだけ?」と聞きたいような内容です。長々しい推理説明が必ずしもいいとは限りませんが本書のは全く物足りませんでした。
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