| 判事に保釈なし |
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| 作家 | ヘンリー・セシル |
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| 出版日 | 1958年01月 |
| 平均点 | 5.00点 |
| 書評数 | 2人 |
| No.2 | 5点 | クリスティ再読 | |
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(2026/07/22 12:47登録) 評者ももう一つ何が面白いのかよく分からないヘンリー・セシル。 いや苦手作家とするほどには、嫌いではないのだが、どうもこの人のユーモア感覚・笑いのツボがよく分からない。 メルトン先生同様に、お堅い法律家が頭を打って、というのがこの作家の笑いのツボなんだろうか。本作でも判事が交通事故で頭を打ったことで、なぜか行きずりの売春婦と同衾しつつ職場にご出勤。でもどうも調子が狂っている。そのうちその売春婦が殺されて現場に行き合わせた判事が容疑者として逮捕。そして裁判という話。 この判事がタダの判事ではなく、高等法院判事だから、巻末解説を読むと最高裁判事クラスの要人レベルのようだ。だから殺人事件の裁判でも関係者はやたらと気を使っている。タイトルの「判事に保釈なし」も、最後無罪がほぼ明らかになっていざ無罪の言い渡しをしようという段に至るが、たまたまランチタイムを挟むことになり、その間「保釈しても問題ないけど、先例がないから」で保釈が認められなかったエピソードから来ているようだ。 う〜ん、そういうのを面白がる小説のようだ。 判事の娘とそれを偶然助けることになる強盗紳士ロウとが、この判事救出のために画策するわけだけども、捻った話のわりに面白みが感じられないんだよなあ。 これは素直に「ごめん」というしかない。 |
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| No.1 | 5点 | 人並由真 | |
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(2021/01/24 05:48登録) (ネタバレなし) 高等裁判所のカタブツ判事として知られる70歳のエドウィン・プラウトは、ある日、路上で車に轢かれそうになった子供を助けた。だがその際に頭を打ち、精神の平衡を欠いた彼は、たまたま近くにいた善意の売春婦、フロッシー・フレンチに救われる。記憶を半ば欠損しつつも自分の職務だけは覚えていた彼は、その後、数日にわたり、フロッシーの家から裁判所に通う。だがその夜、フロッシーの家に戻ったプラウトを待っていたのは、刺殺された彼女の死体だった! 殺人容疑をかけられたプラウトの潔白を信じるのは、彼の唯一の肉親で娘である、まだ若い美人のエリザベス。エリザベスは必死に警察に事件の再調査を願うが、父の容疑は晴れない。そんななか、プラウトの趣味である高価な切手のコレクションを狙って、泥棒紳士の青年アムブローズ・ロウとその一味が登場。賊の犯行現場を押さえたエリザベスは、父を救う起死回生の手段として、裏の世界に通じた機動力を期待できるロウに、半ば脅迫の形で協力を求める。 1952年の英国作品。 セシル作品は今回が初読だが、以前から何か面白そうなのをまずは一冊、読みたいとは思っていた。そうしたら昨年だったか、この本作『判事~』をヒッチコックが映画化の企画として考え、かなり作業を進めていた? という事実を知った。それで俄然、興味が倍加してwebでちょっと高めの古書を購入。半日かけて読んでみた。 ただ感想は、……う~ん、期待が先走りすぎたのか、評価はやや微妙(汗)。 設定そのものはあらすじ通りになかなか面白く、細部の英国流ユーモアも、ああこの辺で笑いをとりたいのだな、というところもあちらこちら、よくわかる(被告席に立たされたプラウト老に、慣例とは違って敬称「サー」をつけるかどうするか、裁判官たちがグダグダ悩むところとか)。 しかし翻訳がマジメで固いのか、いまひとつ愉快に笑えない(素人ながらに、英国の司法制度そのものは丁寧に翻訳しているっぽいのは、巻末の解説とあわせて、なんとなくわかる)。 もちろん、プラウトの冤罪を晴らそうとするロウ(とエリザベス)側の試みがすったもんだするくだりはそれなりに面白いけれど、要は(中略)戦術なので、さほどサプライズも、また「こんなおバカな作戦を」的な愉快さもちょっと薄い(さらにたぶんこの辺も、固めの訳文が足を引っ張っている感じ)。 くわえて中盤から、読者の方にはフロッシー殺害の真相が明かされる。 ここでカードをテーブルの上で表返して、半ば倒叙サスペンス風の要素を導入したのは悪くなかったが、じゃあどういう風にロウ側が真犯人を追いつめるの? どんなエンターテインメントになるの? という興味にもうひとつ応えてくれなかった感触が強い。同じ趣向で、こういうのの扱いに長けてそうなヒラリー・ウォーとかが書いていたら、きっと3~5倍は面白くなったろうねえ。 大枠も構成もけっこうハイレベルに狙いをつけながら、全体的に練り上げがもうちょっと欲しい、そういう減点評価ばかりをしたくなってしまう、ソンな作品。 考えてみればヒッチコックがこれを映画化したかった、というのは、改めてよくわかるな。 原作のケレン味あるネタだけどんどんつまみ出して整理して&潤色して再構築すると、かなり面白い映画ができそうだもの。原作が完璧に面白いものよりは、オレが手をかけてもっと面白くできそうだ、の方が、そりゃやりがいがあるよね。 幻の映画版をいまいちど惜しみつつ、評点は残念でしたの気分で、少しキビシめに、このくらいで。 |
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