home

ミステリの祭典

login
君らの魂を悪魔に売りつけよ―新青年傑作選
旧題:犯人よ、お前の名は? 新青年傑作選集Ⅰ・推理編1  中島河太郎 編

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日1977年07月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 斎藤警部
(2021/01/13 19:13登録)
永遠の女囚 木々高太郎
心理の閃光。忘れ得ぬ名篇。暴風のホワイダニット。時系列がダイナミックに移動を重ね、回想が謎とスリルを焚き付ける前半。切なくも熱過ぎる真相吐露が押し寄せる後半。壮絶なエンディング。やばい。

家常茶飯 佐藤春夫
題名の通り、ちょっとした日常の知恵。行方不明の本を捜す。まるで実用エッセイのようだが、登場人物の●●がポイントとなっているあたり、やはり小説。

変化する陳述 石浜金作
はいはい(笑)。 奔放な新劇女優が前言を覆し続ける心理の動きは面白いが、結末はミステリ流儀の反転とは違うかな、医学随想を小説風に仕立てたみたいで。躍動する中盤と悲劇的真相は読ませる。(ただ、最後が。。)

月世界の女 高木彬光
抜群の書き出しから、、随分とギャフンな真相までユーモアたっぷりに快走。ドタバタ大道具に見えた◯◯にそんな意味がね。。

彼が殺したか 浜尾四郎
やっぱこのタイトルに凄いインパクト。いっけん真相明白にしか見えない夫婦惨殺事件に、辻褄の合わない点が多数存在。それどころか、考察してみれば或る種の不可能状況! 大山を翻す最後の告白と、寄り添う補足が、絶妙のバランスでどちらも熱い。

印度林檎 角田喜久雄
奇妙なだけの小噺かと思ったら。。この●●●●工作の奥深さ味わい深さは、なかなかだぜ。決まってるね。

蔵の中 横溝正史
耽美の深さと●●●トリックの咬み合わせに幻惑されて、騙されました。 オチがただの落とし穴とも見えるが、だとしてもこの落とし穴は、床いっぱいの大きさだよねえ。。。しかも深い。

烙印 大下宇陀児
こいつアしびれる! 引き締まって痛快な、倒叙サスペンス娯楽大作(短篇だけど)! 背任の疑惑を抹消せんと、ずぶずぶと犯罪の泥沼にはまって行く美貌の青年実業家。 最後にヒネリがもう一つ無いのと、残った謎がミステリ的に深くない恨みも、このギラギラした面白さにぶっ飛ばされました。

解説・「新青年」の歴史と編集者 中島河太郎
戦争を挟んだ雑誌の黎明~興隆~凋落を纏めた資料は濃密なる文章。社会風俗史にも言及。興味津々。


「ははア、小説家などというものは、どうせ皆片輪みたような半気違いばかりじゃわい。」

1レコード表示中です 書評