星系出雲の兵站 遠征 |
---|
作家 | 林譲治 |
---|---|
出版日 | 2019年08月 |
平均点 | 7.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 7点 | 糸色女少 | |
(2021/01/10 19:23登録) この作品はタイトルのとおり兵站、つまり補給路や必要物資の確保、さらには後方の社会・経済にもかなりのページを割いている。 兵站を維持できなければ、局地戦には勝てても戦争に勝つことは出来ない。優秀だが地味な多くの者たちが兵器製造開発や補給・生産維持を通して前線を支え、勝敗を左右する。情報戦も重要だし、後方作業は時に行政府と軋轢を生むので、政治手腕も問われる。 もちろん見せ場も豊富だ。宇宙における天体的・物理的な諸条件を踏まえたリアルな戦闘シーンは圧巻の迫力で、英雄も登場する。兵站が危機にさらされ、作戦が崩れる時、犠牲とともに英雄が現れる。巻を重ねるにしたがって英雄が前に出てくるのは、後方社会の疲弊の現れでもある。 作品世界の人類は、4千年前に異星人からの侵略への備えを想定して宇宙に飛び出し、五つの星系に植民してそれぞれの文明を築いてきた。そしてついに正体不明の敵ガイナスと遭遇、交戦状態に入る。戦いながらも人類は、ガイナスの正体を探り、意思の疎通をも試みている。またある意味では古代文明の痕跡も発見された。かつて宇宙で何があったのか。積み上げられてきたさまざまな謎が、第5巻ですべて解き明かされる。もちろんガイナスの正体や人類の闇も。 |