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ミステリの祭典

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壊れた少女を拾ったので

作家 遠藤徹
出版日2007年11月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2020/12/18 22:27登録)
ほおら、みいつけた―。きしんだ声に引かれていくと、死にかけたペットの山の中、わたくしは少女と出会いました。その娘はきれいだったので、もっともっと美しくするために、わたくしは血と粘液にまみれながらノコギリをふるいました…。優しくて残酷な少女たちが織りなす背徳と悦楽、加虐と被虐の物語。日本推理作家協会賞短編部門候補の表題作をはじめ五編を収録、禁忌を踏み越え日常を浸食する恐怖の作品集。
『BOOK』データベースより。

グロテスクではありますが怖くはありません。しかし、異常な状況を平然と描写しているので、据わりの悪さや猛烈な違和感を覚えます。特に『弁頭屋』『赤ヒ月』『カデンツァ』の三編は、最初からそういう世界なんだと頭に叩き込んでおかないと、何だこれってことになってしまうと思います。私は大いに細かい事が気になりましたが、何故とか何が起こっているのかと云った思考はシャットアウトしなければ物語自体を楽しむことが出来ませんね。

帯の謳い文句に「血に濡れた少女はきれいでおいしくいただきました・・・・・・」とありますが、当然表題作の事を示していると勘違いしていました。実は違っていたんですね。前述の三作品はグロと官能を美化して芸術にまで昇華しようと一生懸命書いているのは分かりますが、それが上手く描かれているとは言い難く、あと一歩のところでB級ホラーのそしりを免れない結果に終わっている気がします。表題作と『桃色遊戯』はホラーと言うより、文芸に近い作風だと思います。

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