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ミステリの祭典

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イルカは笑う

作家 田中啓文
出版日2015年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2020/12/15 22:28登録)
最後の地球人と地球の支配者イルカの邂逅「イルカは笑う」、倒産した日本国が遺した大いなる希望「ガラスの地球を救え!」、ゾンビ対料理人「屍者の定食」、失われた奇跡の歌声が響く「歌姫のくちびる」…感動・恐怖・笑い・脱力、ときに壮大、ときに身近な12の名短編。日本人よ、これが田中啓文だ!
『BOOK』データベースより。

荒唐無稽、無茶苦茶、破天荒、脱力系、グロ、ダジャレ、SF、これらを纏めて分散したような作品の数々。誰も書けない、他の誰が書いてもこのように面白くは書けないであろうと予測されるものです。まさに田中啓文の独壇場であります。それぞれの短編が妙な迫力を有していたり、とんでもないスケールの大きさを誇っていたり、意外な感動を持っていたり、シニカルな味わいを出していたりします。

巨額を掛けて造られた宇宙リゾートで完全再現された宇宙戦艦ヤマトは、波動砲で宇宙人の侵略を防げるか、そしてその後意外な事実が判明する『ガラスの地球を救え!』。
ある出来事(勿論でっちあげ)を切っ掛けに謀反を決意する明智光秀が、本能寺で信じられないものを目の当たりにする『本能寺の大変』。
それまで一度も試合で登板したことのなかった星吸魔が、甲子園で初マウンドに立ち180キロのストレートを投げるが、体中が本物の「血の汗」を流し始める『血の汗流せ』。

等々、田中啓文の入門書には持って来いの短編集です。駄作は一つもありません。合う合わないはあると思いますが、たまには毛色の変わった物をという方にお薦めです。

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