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ミステリの祭典

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ジョン・ディクスン・カーの最終定理

作家 柄刀一
出版日2020年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 HORNET
(2020/12/13 17:59登録)
 大学生・深道恭介は、テイラー教授のゼミのメンバーで、夏期合宿と称して友坂夕也の別荘に集っていた。合宿のメインは、かのディクスン・カーの直筆の書き込みがある「カーの設問詩集」と呼ばれる本を見ること。そこには、実際にあった未解決事件の記録と、その真相を読み解いたらしいカーのメモがある。そのメモを手がかりに、皆で推理合戦を巡らすはずだったのだが…合宿中に、メンバーの友坂夕也がスピアガンで撃たれて殺された。

 2006年に、カーの生誕100周年を記念して刊行されたアンソロジーに収録された短編を、大幅に改稿して長編として出版された作品。アンソロジーが文庫化される際に、この作品だけが文庫収録から外され、あえて長編化したのだから、それだけのものだったのだろう。
 物語は、「カーの設問詩集」内の未解決事件を読み解く筋と、現実で起こった友坂夕也殺害事件を解く筋とで額縁構造になっている。どちらもロジック重視の本格ミステリで、一粒で何度もおいしい。本格ファンなら、好みの作品ではないかと思う。

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