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ミステリの祭典

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蟲と眼球とチョコレートパフェ
蟲と眼球シリーズ

作家 日日日
出版日2006年04月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2021/01/02 22:45登録)
エデンの林檎の不思議な力で人知を越えた存在となった少女がいた。眼球抉子―通称グリコである。不死身の彼女は、千余年の時の中で初めて、「大切な存在」宇佐川鈴音と出会ったが、林檎を狙う者たちとの戦いのなか、鈴音は意志のない生ける屍―肉人形となってしまった。鈴音、賢木、グリコの三人で過ごした幸せな日日を取り戻そうと、鈴音を救う方法を探してさまよい続けるグリコは、ある人物の言葉を信じて、ここ観音逆咲町へ戻ってくる。おりしも町には怪しげな人物が集結し始めており…はたしてその目的とは何か?大切なものを守るため心を閉ざすグリコ。その優しさが胸を打つ、シリーズ第三弾登場。
『BOOK』データベースより。

第一作が閉じた世界なら三作目は開かれた世界です。新キャラが続々登場し総勢10人以上のキャラが敵味方入り乱れてのバトルを繰り広げます。当然ストーリーも分散し、かなり複雑なものになっており、更に神話が随所に出てきて物語全体の骨格のようなものが見えてきます。しかし、どうしてもシリーズ化の予定がなかったものを無理して話を繋げている感は拭えませんね。

中盤までグリコの敵側からの視点で描かれていて、本作から読んだ読者は一体何がどうなっているのか全く意味不明となるでしょう。ですからくれぐれも順番に読まなければいけない構造になっています。しかし、敵同士が必ずしも戦わなければならない道理もなく、最終的には・・・な展開に。まるで最初から最後までジェットコースターのように激しく乱高下します、全てが読みどころですね。ただ今回も鈴音の出番が少なく、その意味ではやや不満が残ります。前作から登場した憂鬱刑事の顛末もしっかりと描かれていました。そして、次回に繋がるエピソードで終わって、四作目が気になる訳ですね。あざといです。

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