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ミステリの祭典

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小説スパイラル 推理の絆3 エリアス・ザウエルの人喰いピアノ
小説スパイラル

作家 城平京
出版日2003年03月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2020/12/12 22:32登録)
『エリアス・ザウエルの人喰いピアノ』と呼ばれた古きグランド・ピアノ。華族の名家、柚森の令嬢・史緒はそのピアノによる奇怪な企みにからめとられ、かつてピアノ教室で一緒だった鳴海歩に救いを求めた…。ピアノに隠された秘密とは何か?そして歩の推理が導き出した真実とは!?ガンガンNETにて大好評掲載中の「名探偵鳴海清隆―小日向くるみの挑戦」から3編も同時収録。
『BOOK』データベースより。

中編と番外短編が三編。表題作『エリアス・ザウエルの人食いピアノ』の真相は本格とは言い難く、鳴海歩の過去に起こったちょっとした事件の顛末を描いた、軽めの作品です。どちらかと言うと短編のほうがメインになってしまっている感じですね。タイトル負けしている感が強く、おどろおどろしい古式ゆかしい本格物を期待すると裏切られます。その代り歩の兄である清隆が活躍する、問題編と解決編で構成された二作がかなり充実している印象です。

ノンキャリアで若き警部の名探偵、鳴海清隆と、大財閥小日向グループのお嬢様小日向くるみ、鳴海の部下で突っ込み役の羽丘まどかの三人のやり取りが楽しい番外編はよく練られた本格ミステリで、読者への挑戦の意味合いを兼ねた佳作だと思います。主にフーダニットですが、細かい伏線や小細工がなかなか憎らしい粋な短編ですね。表題作はともかく、こちらを評価しての点数となりました。

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