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ミステリの祭典

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殺人グランプリ

作家 ジョン・ラング
出版日1972年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2020/12/02 17:40登録)
(ネタバレなし)
 1960年代半ばの欧州。軍備増強を図るイスラエルは、ノルウェー陸軍が放出する武器の大量輸入を計画。だがその作戦を支えるイスラエル情報員たちを世界の各地で暗殺するのは、アラブ側の秘密工作員たちだった。表向きは外科医のアルジェリア人、ジョルジュ・リソー率いるアラブ暗殺団に対し、イスラエルを支援するパリ在住のアメリカ大使館は裏の世界の暗殺者モーガンを招聘するが、たまたま商用で訪仏したアメリカ人の青年弁護士ロジャー・カーは外見が似ていたため、そのモーガンと誤認されてしまう。アラブ側、アメリカ&イスラエル、さらにはパリ警察までが動くなか、暗殺者ジョルジュの企む謎の計画にさらにまきこまれていくカーは。

 1967年のアメリカ作品。クライトンが(複数のほかの名義も含めて)一番最初に書いた作品、あるいは著作。
 日本ではポケミス1185番として1972年10月に刊行。Amazonの登録データはなぜか70年代の前半が不順なので、これも現状で登録されてないみたいだ。

 殺し屋とそっくり(?)さんのアマチュア主人公で巻き込まれ型サスペンスという、王道の設定と展開。これでもアンブラーやガーヴあたりの英国勢が書いたらもうちょっと格調が漂うような気もするのだが、良くも悪くもエンターテインメント一徹の冒険スリラー。
 悪役ジョルジュのいかにも外科医らしい生々しい拷問描写の数々には、なるほどクライトンらしい香りは感じる。

 しかしポケミスの人物一覧が一部、盛大なネタバレ。
 まあこのポジションのキャラなら(中略)がみえみえとはいえ、やはりそのへんはムダに書かなくていいよ、という感じ。これから本作を読む気のある人は、なんとなく登場人物一覧がヤバイということは、覚えておいてください。
(あと、あんまり詳しく書けないけれど、この邦題もあまりよろしくないね。)

 胃もたれしない感じでまとめたクロージングはまあよしだけれど、一方でリアリティから言えば、ちょっとこのスムーズさはありえあないだろう、という苦笑。
 同じ時代の欧米作家のあれやこれやらなら、もっと(中略)なラストで、引き締めた気もする。
 まあのちの職人作家の大家が若き日に、昔から達者な筆で書いたB級作品。それでもどこを見せ場にしてどう盛り上げるかのメリハリぶりや、背景となる国際情勢の点描など<ちょっといい>感じは確かにある。これはこれでよいという感触。

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