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ミステリの祭典

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さよなら、エンペラー

作家 暖あやこ
出版日2020年07月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 糸色女少
(2020/11/25 19:38登録)
人工知能によって首都直下型巨大地震が予知されたことで大混乱が生じ、政府は首都の関西移転を断行する。天皇も「混乱なく国民を避難させる唯一の方法だ」と内奏され京都に遷る。だが不安を抱きながらも東京にとどまる人々もいた。そこに「東京帝国皇帝」を称する男が現れ、残留民の支持を集める。
カラスに親しみ、ナポレオンを崇拝する「皇帝」に興味を抱き、彼の「付き人」となった青年は、実は特別な存在だった。常に「ふさわしい」言動を求められ、そうあろうと努めながら成長し、自分には個性がないと思っていた青年は、積極性のある弟に自分の立場を譲りたいとも願っていた。
地震は起きるのか、国民はどうなるのか、天皇のお考えは、「皇帝」の正体とは。現実の皇室をめぐる逸話や噂も取り入れたユーモラスで破天荒な物語は、次第に神話的象徴性を帯びていく。

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