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ミステリの祭典

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外伝・麻雀放浪記

作家 阿佐田哲也
出版日1989年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2020/11/18 22:35登録)
あの懐しい坊や哲、ドサ健が帰って来た、しかもより多彩でより猛烈なキャラクターのメンメンを引き連れて―。天才的なカンであらゆる博打に勝ち続ける街の女。絶対放銃しないが故に緊張に耐えきれずクスリに溺れる芸妓。苛烈な勝負の連続を通して人生の闘いを鮮やかに描きあげた阿佐田哲也会心の珠玉短篇集。他に色川武大「ひとり博打」を併録。
『BOOK』データベースより。

『麻雀放浪記』とは別物と考えたほうが良さそうです。9の短編のうちドサ健が登場するものが2作品のみで、あとは作者がすでに阿佐田哲也として執筆活動する以降の付き合い麻雀やカジノの話であり、終戦当時を背景にした頃の坊や哲とその対戦相手は登場しません。更に言うと『不死身のリサ』は他の短編集に収められていて既読でした。そして結局この作品が私には一番の出来と感じられました。しかし、そこはそれやはり阿佐田哲也の小説はどれも読み物として優れているので、あながち取るに足らぬ短編集という事は出来ないと思います。

それにしても、阿佐田氏本人の出てくる短編については、どれも成績はあまり振るわずやや浮きか敗北に終わっています。正直、かつての坊や哲の面影はありません。まあ自身ナルコレプシー(発作性睡眠症)などの病に侵されていた為、体力的にも若い頃に比べてしまえば身も蓋もありませんけどね。だからその辺りを差し引いて、温かい目で見る、読む必要性があると思います。そうなれば博打打ちとしてはお終いですが、だからこそ物書きに転身したのだと考えればなるほどとなるでしょう。作者の作品はどれも虚々実々の部分が大きいので、それも断言は出来ない訳ですが。

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