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ミステリの祭典

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麻雀放浪記(一) 青春編
麻雀放浪記シリーズ

作家 阿佐田哲也
出版日1969年09月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 メルカトル
(2020/11/17 22:33登録)
終戦後まもない昭和二十年十月、東京。坊や哲(哲也)の物語はここから始まる――。職にあぶれ街をさまよう哲は、麻雀の主のような男出目徳に出会い、徐々に技(イカサマ)を駆使した高レートの麻雀に惹かれていく。出目徳の下でイカサマ技術を覚えた哲は、長年のライバルドサ健のみならず出目徳すらも凌駕しようと、上野下車坂の「喜楽荘」で勝負を挑む。有り金全てを賭けた真剣勝負の勝者は……!? 麻雀史のみならず小説史にその名を残す金字塔「麻雀放浪記」の第一弾。
Amazon内容紹介より。

何度となく読み返した、私の学生時代のバイブルです。この度何度目かの再読でやはりこの作品はエンターテインメント小説の金字塔だと改めて感じました。本物の名作です。麻雀に限らず博打に於ける、バイニン同士の裏ワザが炸裂する戦いの数々はまるで目の前で展開されるかのように色褪せず、読む者を魅了します。まさに手に汗握る、血沸き肉躍るといういささか陳腐な表現すらピッタリくるような、戦後日本の勝負に命を懸けた博打打達の生々しい姿が躍動するように描かれています。

個人的に印象に残っていたサイドストーリーで登場した、ガン牌の清水のエピソードが意外にあっさりしていて、この先どうなるのかというところで呆気なく死んでしまうのには、あれ?という思いもしました。こんなんだったっけと言うのが本音。
全てが読み所と言っても過言ではない本作ですが、やはり坊や哲、ドサ健、出目徳、女衒の達による最後の闘牌は圧巻ですね。中でもワンランク下の打ち手でありながら、人間味溢れる女衒の達が私の中では意外にも存在感が大きかったのを今回確認できました。和田誠監督により映画化(1984年)されており、私はDVDも持っていますが、映画ではoxクラブのママだけでは色気に欠けるという配慮からか、ドサ健の女まゆみが結構重要な訳を与えられていますが、原作ではそれほど出番が多い訳ではありません。その辺り原作と映画を比較してみるとなかなか興味深い事実が浮き彫りになってきます。しかし、映画がかなり原作に忠実に描かれていたのは間違いないです。映画の撮影には阿佐田哲也氏自身が立ち会ったようで、坊や哲役の真田広之は自分の若い頃に似ているとおっしゃっていたそうです。

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