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ミステリの祭典

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事件の予兆 文芸ミステリ短篇集
中央公論新社編

作家 アンソロジー(出版社編)
出版日2020年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 YMY
(2020/11/11 19:16登録)
1950年代から1980年代に発表された非ミステリ作家によるミステリに光をあてている。
鮮やかなどんでん返しが人間の精神の闇を照らす大岡昇平「春の夜の出来事」、狂気と恐怖へと誘い込む山川方夫「博士の目」、床屋の主人が客の首を切る志賀直哉の「剃刀」(1910年)へのオマージュともいうべき野呂邦暢「剃刀」、死の床につく母親が息子に復讐する野坂昭如「上手な使い方」、崖から転落死した2人の女性の謎を探る大庭みな子「冬の林」など10編。
「博士の目」や「冬の林」がいい例だが、解かれる謎よりも解かれない謎のほうが魅力的で、混沌たる深層意識をのぞかせるだけで、ドキリと衝撃的であることを伝えている。純文学作家たちのアプローチの新鮮さがここにある。

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