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ミステリの祭典

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首交換殺人
心理分析官加山知子の事件簿

作家 和田はつ子
出版日2004年07月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 メルカトル
(2020/11/04 22:39登録)
「遺体の首がすげ換えられている」―六本木ヒルズと麻布のマンションで若い女性の遺体がそれぞれ発見されたが、なんと首が交換されていたのだ。被害者の一人は、資産家の娘で高校の非常勤講師、もう一人はホステスで、どうやら売春をして、ヒモに貢いでいたらしい。犯人の動機は一体何なのか?!警視庁捜査一課直属の心理分析官である加山知子は、早速プロファイリングをはじめるが…。現代に生きる男女の欲望と心の闇を描く、心理分析官・加山知子シリーズ、待望の書き下ろし長篇。
『BOOK』データベースより。

完全に名前負けしてますね。ミステリ的に言えばホワイダニット、フーダニットに当たると思いますが、犯人は登場時速攻で判りました(直感ですが)。ホワイに関しては本格ミステリではないので論理的に解明される訳ではありません。その動機もまあ何となくそうなのかくらいにしか感じられません。
ご都合主義もかなりのもので、容疑者も偶々加山知子が知己だった人物の関係者だし、捜査班本体の状況がほとんど描かれておらず、専ら加山知子と二人の助手である警察官による聞き込みなどに終始して全方向的な視点に欠けます。視野が狭く奥行きもなし、結果歪なストーリーになってしまっている印象です。

この作者はサイコサスペンスやサイコホラーを専門的に描いているようですが、それにしては不手際が目立つ気がします。真犯人の心理状態や人間像に迫れていませんし、ホラーとしてもサスペンスとしても警察小説としても中途半端ですね。えぐみや臨場感、外連味に欠け、描写力も弱く、主人公や助手に感情移入出来ないなどの欠点が目立つばかりです。

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