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ミステリの祭典

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暁天の星
鬼籍通覧

作家 椹野道流
出版日1999年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2020/10/20 22:35登録)
どこかアットホームな雰囲気の大阪O医科大学法医学教室。新人伊月は先輩医師ミチルにしごかれていた。ある日、電車に身を投げた女性の遺体が運ばれてくる。さらに車に轢かれた女性も。遺体の彼女たちには世にも不思議で奇怪な共通点があった。法医学を極めた女性医師が放つ傑作シリーズの原点を新装版で。
『BOOK』データベースより。

過去に法医学教室に勤めていた作者による、鬼籍通覧シリーズ第一弾。
結論から言うと残念ながら本作はミステリではありません。電車に身を投げ轢断された女性と、走ってくる自動車の前に突如飛び出して轢き殺された女性、この二つの事件が論理的に解決されていたら、最低でも7点は付けていたと思います。最終章まで、この二人の奇妙な共通点を中心に謎を追う二人の主人公という構図は、サスペンスそのものですが、最後にホラーとして片付けられてしまうのは、誠に惜しいとしか言いようがありません。まあそりゃそうだろうなとは思いますけどね。こんなものに真っ当なトリックが存在したら、それこそ新発明ですから。

しかしながら、読み物としてはそれなりに面白く、特に無残な死体の解剖シーンには見るべきものがあります。そこには実際その場に立ち会っていた者にしか書けない生々しさがあり、決してグロではなく真面目に描かれているところに好感が持てます。二作目の書評でも書きましたが、いまいちキャラが立っていないのがどうにも悔やまれます。ミチルはともかく、伊月はチャラすぎますね。こんな医者がいたらちょっと嫌だなと思いますよ。都築の存在感はやや印象的ではありますが。

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