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ミステリの祭典

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人面町四丁目

作家 北野勇作
出版日2004年07月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2020/10/10 22:19登録)
大災害に被災し、行き場を失った男が遺体安置所で出会った不思議な女――。いっしょに来る? その言葉に導かれ、女の故郷人面町で、いつしかともに暮らし始めた男が出会うこの世のものとは思えぬ異形のものたち。そして、曖昧な記憶の糸をたぐりよせ、男がたどりついた、哀しくも酷いあの日の事実とは!? 日常のすぐそばで、ひたひたと迫る恐怖を描く逸品。
Amazon内容紹介より。

一応ホラーで登録しましたが、ファンタジーやSF要素も多分に含まれた連作短編集。
雰囲気としては綾辻行人の『深泥丘奇談』シリーズに近いと思います。ただ流石に綾辻程の文学性やミステリ的趣向はありません。平凡な日常に突如として現れるとんでもない怪異を描いていますが、さして怖くはないです。オチもあったりなかったり、ホラーとして特記すべき点はあまり見られません。この作者特有の恐怖の中にほのぼのとした情感が感じられ、何とも言えないクセのようなものがありながらも、後を引かない印象の薄さが特徴でしょうか。悪く言えば、すぐに忘れてしまいそうな影の薄さですね。

ちなみに、レプリカメが登場した時は唖然としました。こんなところで北野ワールドを持ち出してくるのかと、ちょっと意表を突かれましたね。短編集というより長編で一話ごとに趣向が変わってくる感じですかね。何となく各話に相互の繋がりがありますし。

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