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ミステリの祭典

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雪の別離
短編集

作家 夏樹静子
出版日1984年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 クリスティ再読
(2020/10/06 14:36登録)
夏樹静子って「蒸発」とか「Wの悲劇」くらいしか読んだことなかった..けどなぜか本棚にある。どうやら亡き母が買ったもののようだ。なので初読だと思う。
時期でいうと「Wの悲劇」の頃の短編集で、8作収録。1作平均30ページ強。一応ふつうにミステリで、リアルな範囲でのトリックがあったり、意外な真相があったり。とはいえね、大概の作品は狙いが読めて、意外性はさほどない。シンプルと言えばシンプルなミステリで、あっさり風味。女性視点が多いけど、女性心理のドロドロはそれほどでもない。
80年代初めだけど、どっちか言うと70年代的テイストで、郊外新興住宅地が舞台だったり、地方の中小企業の内幕だったり...という世界。やたらと懐かしいんだけど、その分なんか古臭くなってるのが、評者はショック。この人キャラ造形は「世の中のフツーの庶民」というタイプがほとんどなので、リアルと言えばリアルなんだけど、もはやレトロな世界に入ってしまっている印象。
なので、全体的に見ると、大したことのない作品集。それでも最後の「天人教殺人事件」は新興宗教の教祖と補佐役の話で、特殊題材なこともあって、わりと面白い。けどね、語り口を変えたらずっとよくなりそう...なんて思ってしまう。
70年代的な標準ミステリ、というのが全体的な感想。

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