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ミステリの祭典

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教祖誕生

作家 ビートたけし
出版日1990年12月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2020/09/28 21:45登録)
「教祖来る。神と出会う集会開催」手渡された一枚のチラシ。そして、目前で実演される感動的な奇跡。うぶな和夫は、インチキを信じ教団職員となるが、そこに宗教はなかった。初代教祖が亡くなると、実権を握る総務主管・司馬は、二代目教祖に和夫を抜擢した。彼は教祖の聖性を否定し、自らの力で完璧な唯一神を創造しようとしていた。「現代の教祖」が、神への試練に挑んだ長編小説。
『BOOK』データベースより。

冒頭のエピソードはその後の展開を期待させるに十分なものでした。しかし、いざ本編が始まると何となく流された感があり、今一つ盛り上がりません。教団職員になりたての和夫がいきなり二代目教祖に任命されるのもリアリティに欠けます。地味ですが、神と教団、教祖と神、教祖と教団の関係性に対する言及はたけしの宗教観や、神に対する思いがそのまま盛り込まれている感じがしました。

映画化されていますしDVDにもなっていますので、それなりに話題にはなったかもしれません。ただ、原作としては決して映像向きとは言えないと思います。
主人公の和夫よりもアクの強い司馬のほうが実質的に主役でしょう。彼の言動は作者の人生観がそっくり乗り移っている気がします。教団内には様々な人間が存在しており、考え方の違いでぶつかり合う場面が多く、そういったシーンが一つの読みどころとなっていますね。
解説は現在日本最大の教団にも触れており、その部分はなかなかの英断だと思いました。

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