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ミステリの祭典

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平成都市伝説
尾之上浩司編

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日2004年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2020/09/27 22:59登録)
口裂け女、発条足男、学校の怪談などの都市伝説をモチーフにした平成時代のホラー短編集。作家陣は斎藤肇、奥田哲也、牧野修、田中啓文、友成純一ら九名。
真正面から都市伝説に取り組んだと言える作品はほとんどなく、どこかしら捻りを加えて作者なりの色を出そうとしている姿が微笑ましいです。中にはただのホラーじゃないかとも思える作品もあり、取り立てて都市伝説にこだわる必要はなかった気もします。

例えばやや期待していた斎藤肇の『名残』は単に幽霊同志のやり取りを淡々と描いただけの凡作で、もはやこの人は作家として終わっているのではないかと思わせるような不出来です。
逆に面白かったのは梶尾真治の『わが愛しの口裂け女』。死を目前にした父が語る失踪した母との思い出を語り、最後には口裂け女の本領を発揮した感動すら覚える魅力的なホラーに仕上がっていると思います。
また田中啓文の『読むなの本』もなかなかの出来。いじめに遭っている小学二年の幾人が逃げ込む図書室で出会った不思議な体験を描いています。そしてラストはやはり得意のダジャレが炸裂します。しかし流石に読ませる力は見るべきものがありますね。
友成純一は初めて読みますが、噂に違わず相当グロイです。他は可もなく不可もなしといったところ。まあ全体としてはそれなりに楽しめました。

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