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ミステリの祭典

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下町ロケット ゴースト
下町ロケットシリーズ

作家 池井戸潤
出版日2018年07月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 E-BANKER
(2020/09/27 19:41登録)
「下町ロケット」のシリーズ作品の第三弾。皆さんご存じのとおり、すでにTBSの地上波で放映され、大人気を博した作品。まっ、かくいう私はチラ見くらいしかしてないので、新鮮な気持ちで読了したわけですが・・・
単行本は書下ろしで2018年の発表。

~宇宙から人体へ。次なる舞台は「大地」。佃製作所の新たな戦いが始まる。倒産の危機や幾多の困難を社長の佃航平や社員たちの熱き思いと諦めない姿勢で切り抜けてきた大田区の町工場「佃製作所」。高い技術に支えられ、経営は安定したかに思えたが、主力のエンジン用バルブシステムの納入先である帝国重工の業績悪化、大口取引先からの非情な通告、そして番頭・殿村の父が倒れ、一気に危機に直面する。ある日、父の代わりに栃木で農作業をする殿村のもとを訪れた佃は、その光景を眺めているうちに一つの秘策を見出す・・・~

今日、2020年9月27日、日曜日。いよいよ地上波ドラマ「半沢直樹」の最終回の日。
ネットニュースは最終回の展開予想で大騒ぎ。今回は歌舞伎俳優たちが大活躍。得意の「顔芸」で濃い演技を見せたり、予想もつかない展開の連続で巷の話題をさらってる状況・・・のようだ。(新聞によると、中国でも大人気になってるそうだ・・・スゴイ)
でも、あれ見てると、銀行員ってなんなんだ! ってどうしても思ってしまう。もちろん極大的に戯画化していることは理解するが、政府にたてつく一介の銀行員なんて・・・。(現実に当てはめると、そこら辺の銀行員があの二階幹事長に面と向かって非難するんだからな・・・ありえん!)

いやいや、「半沢直樹」の書評じゃなかった。「下町ロケット ゴースト」である。
ドラマをご覧になった方はお分かりのとおり、本作は「佃製作所VSダイダロス+ギアゴースト」の前編的位置づけの作品。テーマは、「トランスミッション」であり「農業」である。
こんなことをいうと元も子もないけど、もはや池井戸作品にあれこれ書評する気はない。
とにかく、どうぞ、頭を真っ白にして、作品世界に没頭してください。今回も、佃航平は熱い男だし、殿村や佃製作所の社員はとにかく一生懸命に頑張ります。悪役たちも一生懸命悪役を全うしています。
とにかく、一生懸命なんです。「臭い」と言われようが、現実離れしていると言われようが、真っ直ぐな人間や言葉はいつの時代も心に刺さるのでしょう。じゃなかったら、池井戸作品がここまで受け入れられることはないはず。

作中での殿村の放つ科白『サラリーマンは安定なんかしてない。意に沿わない仕事を命じられ、理不尽に罵られ、嫌われて疎ましがられても、やめることができないのがサラリーマンだ。経済的な安定と引き換えに心の安定や人生の価値を犠牲にして戦っている・・・』 うーーん。染みる言葉だ。

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