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ミステリの祭典

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あの日の交換日記

作家 辻堂ゆめ
出版日2020年04月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 猫サーカス
(2020/09/29 18:40登録)
交換日記で構成された7編の連作で、最後の第7話での伏線が回収される凝った仕掛け。入院患者と見舞客、教師と児童、姉と妹、母と息子、加害者と被害者、上司と部下、そして夫と妻というさままざまな立場の2人が紡いでいく話には毎回驚きがある。特に同級生殺しを予告する「教師と児童」、罵倒の連続となる「姉と妹」、ひねりが抜群の「加害者と被害者」が切れもあって優れているが、過去6話の背景や事件の挿話を巧みにつないで大胆なドラマ仕立てにした第7話が秀逸。メール全盛の現代にあって手書きによる交換日記というアナログな手法が、秘めた思いを語らせ、隠された事実を浮かび上がらせるのに有効であることがわかる。

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