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ミステリの祭典

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詐欺師は天使の顔をして

作家 斜線堂有紀
出版日2020年01月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 ROM大臣
(2024/07/01 15:04登録)
イカサマ霊能力者の子規冴昼が、突然失踪してから三年がたった。彼と組んで霊能詐欺をプロデュースしていた呉塚要は、ある電話ボックスから出た瞬間に、今まで住んでいた世界と似て非なる異界に紛れ込んでしまう。その世界で、冴昼は殺人の冤罪を着せられていた。
作中の二つのエピソードの舞台となるのは、皆がサイコキネシスを使えるのが当たり前の世界と、死んだ人間が幽霊になって蘇る世界。特殊設定ならではの動機やトリック、都合のいい決着をつけるための詭弁的推理と、いかにも現代本格らしい要素のてんこ盛り状態だが、特に作者の本領発揮なのは、異界を転々とするかつての相棒・冴昼を追い続ける要の異様なまでの執心。両者が互いに向けたいびつで純粋な感情が浮かび上がるエピローグが印象的。

No.1 5点
(2022/12/03 18:24登録)
異世界を舞台にしたミステリ。カリスマ性のある「霊能力者」子規冴昼(しきさえひる)が、誰でも念力を使えたり(『第一話 超能力者の街』)、死んだらすぐに幽霊として戻って来る(『第二話 死者が蘇る街』)世界にとばされ、彼を追いかけて行ったマネージャーであり超能力ショーの脚本家でもある呉塚要がその世界で起こった殺人事件を解決するという作品です。タイトルの詐欺師とは子規のこと。
第一話は犯人がなぜエレベーターを使わなかったのかとか、階段を上り下りした痕跡が本物なのかどうかが明確になっていないため、釈然としませんでした。第二話は動機はすぐ見当がついたものの、もう一つの事件と組み合わせて複雑化しています。エピローグの異世界は、人間の設定関係ではなくなってしまっていました。
「単なる手品」という言葉が繰り返されたり、超能力ショーで鮮やかな視覚的手品をやったりしているところは、気になりました。

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