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ミステリの祭典

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腐った太陽

作家 黒岩重吾
出版日1961年01月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 斎藤警部
(2020/09/01 11:30登録)
“加津子は青い空を見上げた。競輪場の方から微かなどよめきが流れて来た、大穴でも出たに違いなかった。”

昭和30年代中盤の大阪。 敗戦の打撃で転落し、コールガールで暮らしていた佐伯(加津子)は、客の一人だった工業機械メーカー社長宮内の愛人となり、社長秘書として入社する。脚の悪い宮内は戦後混乱期の罪深い過去を佐伯に告白するが。。。。ある夜水死体で発見された。佐伯は復讐を誓い、真犯人を追い詰める仕事に着手する。折しも会社の極秘情報がライバル社へ漏れ大打撃を受けている時期。ライバル社のキーマンと密会を目撃される営業部長の泉。その右腕、課長の行枝。生真面目な取締役技術部長の加藤。次期社長候補筆頭だが人望の無い常務の井岡。佐伯に居場所を追われた形の元社長秘書鈴木は失踪する。夫と同じく脚の悪い、宮内の妻安江は夫の死後不審な様子を見せる。調べが進むに従い宮内の過去にも一気に暗雲の疑惑が。。。

この意外な真犯人は、分からなかった! 見事な目眩ましはまるでクリスティの技だ!! 結末に至るまで、最高にスリリングな良作ミステリとして余裕の7点を想定してたけど、最後の真相爆発で8点の壁を正面突破しちまった。。

特許、乗っ取り、消えた株式。。。 いい意味で会社派だな、そうさ会社派で悪いわけがない、会社ってミステリにとって最高に魅力的な舞台じゃないか、、なんて澄ましてたら、実はひっくり返ってガッツリ社会派恩讐の滲む真相だったか。。。!! おまけにある種の「人間の証明」がそこに隠れていたとはな!! 

最低のカス野郎のクセして妙に魅力あるコールガールブローカー北野。 翳はあるが光をもたらす純朴青年杉野も忘れ難い。 大胆な拷問シーンはちょっとコミカルな味もあった。 だからこそ、このエンドは。。。。。。。

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