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ミステリの祭典

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般若心経殺人事件
宗正機シリーズ

作家 永井泰宇
出版日1994年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2020/08/13 21:25登録)
(ネタバレなしです) 永井泰宇(ながいやすたか)(1941年生まれ)は漫画原作家やシナリオライターとしても活躍しています。1994年発表の本書は宗正機シリーズ第1作の本格派推理小説です。般若心経の住職が殺され、自身も浄土真宗住職の息子である正機が容疑者となった大学時代の後輩のために謎解きに乗り出すプロットです。中盤の出羽三山の描写はよくできていますがミステリーらしさが希薄になってしまった感があります。しかし第19章で自白が飛び出す意外な展開からミステリーらしさが復活します。とはいえ犯人当てとしては楽しめる内容ではありませんでした。被害者を負傷させた凶器の正体はまだともかく、それに犯人が指紋を残しているなんてのは推理のしようがないはずです。本書の1番の読ませどころは不自然なまでに誤字が散見される写経本の謎解きで、手の込んだ暗号を実に丁寧に解読しています。暗号や時刻表が登場すると読み飛ばしてしまう私ではその良さを紹介したくてもできないのですけど(笑)。

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