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ミステリの祭典

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桐谷署総務課渉外係 お父さんを冷蔵庫に入れて!

作家 加藤鉄児
出版日2017年06月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2020/08/05 22:26登録)
稀代の名優・十文字豪の「遺体」が誘拐された?!テレビ中継される葬儀を前に奪還が急がれるが、豪の娘で「刑事嫌い」の凛子は刑事課の協力を断固拒否。代わりに通称「クレーム係」こと総務課渉外係の吉良と、新人の真知子が犯人との交渉役に駆り出される。5761万7559円との奇妙な身代金を要求されるなか、刻一刻と腐敗が進む「人質」の奪還は間に合うのか!「お願い、お父さんを冷やして!」
『BOOK』データベースより。

タイトルが・・・ちょっと違うような気がします。想像していたのとかなりの隔たりがありますね。『お父さんを冷蔵庫に入れて』という子供の願いの様にも取れるタイトル、勘違いを生みます。遺体の身代金という新しい試みではありますが、謎という点では物足りません。何故半端な身代金なのか、遺体を如何に気づかれずに入れ替えるのか、身代金の受け渡しの方法は、辺りに興味は向きます。
意外と重要な双子の姉妹の動向には注意が必要です。犯人側からも描写されていますので、倒叙物としても捉えることが可能です。そして冒頭の遺体の引き取りシーンには多大な疑問が湧き起こり、物凄く違和感を覚えますね。そんな事って果たしてあるのかなって。


【ネタバレ】


犯人は現金を仮想コインに換金して、その大半を手にすることになります。この手法は誘拐物としては新味を出していると言えるかもしれません。が、最も肝心の遺体の入替に付いて、サラッと流し過ぎでしょう。そんなに簡単に出来るはずがないじゃありませんか。人の眼が全くないとでも?そこは大いに不満に思うところです。
又前述のように、誰も「お父さんを冷蔵庫に入れて」などとは言ってません。衝撃的なタイトルを付けたほうが売れるとでも考えての事と思いますが、色々誤解を生むので、そこのところ留意していただきたかったです。警察内部に軋轢があるのは理解できますが、刑事課と総務課が同時に別の動きをするのはどう考えてもあり得ないと思いますが。

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