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ミステリの祭典

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ヒポクラテスの試練
『ヒポクラテスの誓い』シリーズ

作家 中山七里
出版日2020年06月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 HORNET
(2020/08/03 19:52登録)
 浦和医大法医学教室に、光崎とは旧知でありながら憎まれ口をたたき合う仲の城都大附属病院・南条がやって来た。南条は、前日に搬送され肝臓がんで急死とされた前都議会議員・権藤の死に疑問があるという。というのも、9カ月前の検診で何の以上もなかった権藤が急死というのは、肝臓がんの進行度合いからは考えられないからだ。例のごとく埼玉県警の古手川が捜査に駆り出される中、明らかになってきたのははなんと「エキノコックスの突然変異」。これが事実なら、日本に未曽有のパンデミックが起こる可能性が。しかし、感染が疑われる都議たちは、何故か感染経路と目されるアメリカ視察について固く口を閉ざしている。自分の命と引き換えにしても守らなくてもならない秘密とは何なのか―!?

 久しぶりに出た、「ヒポクラテス」シリーズ。今回は、始めの章は短編として一応結びつつ、そこから話が続いての長編となっている。キャシーと真琴がアメリカに飛ぶことになり、物語のスケールが広がっていく中、各節目に謎が仕掛けられており、読者を飽きさせない展開はさすが。大筋をしっかり保ちながら、各所で小さなどんでん返しを散りばめている全体の仕組みに嘆息し、十分に楽しませてもらった。

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