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ミステリの祭典

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ドリームダスト・モンスターズ 眠り月は、ただ骨の冬
山江壱&石川晶水

作家 櫛木理宇
出版日2015年05月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 人並由真
(2020/08/02 15:18登録)
(ネタバレなし)
 他人の夢の世界に入り、問題を抱えた相手の心を救う「ゆめみや」の老女・山江千代。とある事件を経て千代の不思議な能力と温和な人柄に救われた女子高校生・石川晶水(あきみ)は、彼女に想いを寄せる学友で、千代の孫でもある少年・壱とともに、ゆめみやの仕事に関わっていた。だがそんな3人の周囲で、蛇と妖しい老女に関係する悪夢に苦しむ者が続出。晶水たちは、事態の解明と解決を図ろうとするが。

 シリーズ3冊目。2015年の新刊(文庫書き下ろし)。
 今回は連作短編集っぽい仕様で、実際には本書の最後のエピソードで事件の真相がわかる長編作品。
 ラブコメ要素はシリーズ初期より薄くなったが、その分、巻を重ねて付き合ってきたこちらは登場人物たちといい具合になじんでいるので、キャラクターミステリとしてのバランスは悪くはない。
 ただしなんかシリアスで緊張感のありげな主人公コンビの問題が、最後で拍子抜けだったのはなんとも。まあ作者は、シリーズに緩急をつけるためのお約束でやっているところもあるんだろうけれど?

 ホラーミステリとしては、ちょっとしたトリック(ギミック)を使用。その切なさとグルーミーさはいかにも櫛木作品っぽくて、このシリーズのなかではギリギリのところであろう。あんまり主人公トリオが辛い目に遭わされるのもなんだし。

 しかし覚悟の上で読んだけれど(参考:ラノベ『エロマンガ先生』のいやがらせ)、このあとの続きが5年間書かれてないので、いったんここでシリーズは休止なのね。こういうのって、どういうことを機会に再開するのでしょうか? いや、そんなのが千差万別なのは百も承知ですが(笑・涙)。

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