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ミステリの祭典

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修道女フィデルマの挑戦
修道女フィデルマ

作家 ピーター・トレメイン
出版日2017年12月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2020/07/27 22:07登録)
(ネタバレなしです) 修道女フィデルマの短編集といえば英国本国では15作を収めた「晩祷の毒人参」(2000年)が第一短編集ですが、日本ではこれを5作ずつの3分冊にして「修道女フィデルマの叡智」、「修道女フィデルマの洞察」、「修道女フィデルマの探求」で全15作が創元推理文庫版で読めます。英国では新たに15作を収めた第二短編集「死者の囁き」(2004年)が出版されましたが、またしてもその中の5作を抜粋したのが本書です。但し追加で英国では単行本化されていない「化粧ポウチ」を追加して全6作としているところが日本独自編集です。その「化粧ポウチ」は「修道女フィデルマ最初の事件」の副題を持ち、弁護士を目指す16歳のフィデルマが高名な法学院に入学した時の事件を扱い、「痣」では四年間の勉学を終了して卒業試験に臨むフィデルマを描いています。卒業試験自体が謎解きになっていますが、もう一つの問題があまりといえばあまりの内容。一体試験官は何を考えているのやらと呆れます。「昏い月 昇る夜」ではフィデルマが法廷で裁判官を務めるのが珍しいです。でも捜査も証人への尋問も自分でやっているので純粋な裁判官とは言いづらい気がします。学生時代のフィデルマが興味深かったものの、殺人事件が少ないためかこれまで読んだ短編集では最も軽い内容に感じられました。

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