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ミステリの祭典

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薪小屋の秘密
クルック弁護士シリーズ

作家 アントニー・ギルバート
出版日1997年10月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2009/01/28 15:08登録)
(ネタバレなしです) 70冊近いミステリーと20冊近い非ミステリーを書いた男性風のペンネームのイギリスの女性作家アントニー・ギルバート(1899-1973)による1942年発表のクルック弁護士シリーズ第10作の本書は本格派推理小説としてはかなり毛色が変わっており、それが一般受けしにくい理由になっているように思います。前半は完全にサスペンス小説の展開ですが、後半になると謎解き小説の要素が強くなってきます。容疑者数を極端に絞り込んでおり、犯人当てとしてではなく何が起こったのかという網羅的な謎解きとして楽しむべき本格派でした。私は楽しんだというよりあまりに異色なプロットに面食らった方ですが。

No.1 6点 mini
(2008/10/12 09:40登録)
国書刊行会の世界探偵小説全集の中でわりと評判の悪い作
これも擁護しておきたい
論創社の「つきまとう死」もそうだが、A・ギルバートは終盤でそれまでの展開とは違う方向へ行くのが常套手段のようだ
終盤に最大のヤマ場を持ってくる一般的な構成に対し、中盤で一旦ヤマ場を創り、解決編も不条理に持っていくという、ちょっと他の本格作家とは異質なのだ
この「薪小屋の秘密」もそうで、前半は青髭サスペンス物に見せかけて、中盤で最高に盛り上げ、後半は冷めた展開、そして終盤は一見gdgdな結末だが、これもありだと思う
普通に解明して終わりかという予測を裏切る不条理な面白さ
どうも日本の本格中心読者はカタルシスを求めすぎると思う

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