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ミステリの祭典

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無明の闇
鬼籍通覧

作家 椹野道流
出版日2000年03月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2020/07/10 22:27登録)
法医学教室の新米・伊月崇の近況は、目下のところ、教室の「暗黙の法則」を地で行くような毎日。暗黙の法則その1「続くときは同じような解剖ばかり続く」。その週はどうやら「子ども」に縁があるようだった。様々な状況下で死んだ乳児たち。轢き逃げ遺体の解剖の際は、目撃者が幼い少女ときいて暗澹となる。そしてふと気づけば、伏野先輩の様子が妙…?法医学教室奇談、好調、第二弾。
『BOOK』データベースより。

最終章までは医療サスペンス、最終章は完全なホラー、又ミステリの要素も含むという、カテゴライズされないジャンルミックスな本作。一作目もそうだったようなので、それが本シリーズの持ち味なのかも知れません。著者は法医学教室に実際勤務していたと事で、その辺りの描写はかなり生々しいと感じます。
冒頭、連続して二つの赤子の遺体の解剖から始まり、この調子が続くとちょっときついなと思いましたが、その後は漸く本筋に至り、主人公の一人伏野ミチルの過去と現在進行形の遺体解剖が繋がってきます。

法医学教室という特殊な空間を描くことにより、それぞれのキャラを浮かび上がらせる手法は悪くないと思いますが、各キャラが際立っておらず、その意味では物足りなさを覚えます。そして、序盤こそ筋が読めませんでしたが、次第に予定調和的な展開になり、先が読めてしまうのは減点材料ではないかと。一々幕間で食事シーンが挟まれるのもどうかと思いました。なんとなくまどろっこしく感じましたね。

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