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ミステリの祭典

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赤外線男

作家 海野十三
出版日1996年04月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 斎藤警部
(2020/07/09 11:40登録)
春陽文庫の短篇集。

盗まれた脳髄: 理化学というよりSFトリック(かなり雑)。 しかし、ひでえなあ、やる事が。
電気看板の神経: 虚を付く奇想サドゥンエンドに、茫然たる余韻。 本書の中ではいちばん良い。
幸運の黒子(ほくろ): 冴えないショート・ショート。
夜泣き鉄骨: 物理トリックに心理の怖さも少し被さり、動きのあるドラマ。
三角形の恐怖: 一味違う不道徳奇譚。エンディングで無理に味わい演出した感もあるが、まあよか。
西湖の屍人(しびと): それなりにドラマチックな舞台装置。微妙に「時計●の殺●」を思い出すシーンあり。人間ドラマまで至ってないが、話に奥行きはある。
赤外線男: 題名が昔の仮面ライダーみたい。荒唐無稽はいいが、どこかしら突き抜けてない。有名作ネタバレ複数、こともあろうに”陰獣”まで。。色々ひどいもんだが。。。何気に記憶には残る中篇、いや長い短篇かな。 でもまあ、よく考えたら真相はけっこう複雑で面白い構造ですね。透けて見える伏線だらけにしても。

現代の感覚では引いてしまう設定、叙述も多い。物理トリックというより理化学トリック中心の、大味と言うのも違う、情緒の薄いちょっとカサついた読後感のものばかり。でもこれが十三さんの味わい(の一部)。決して好みではない筈なんですが、妙に読みたくなる作家さんです。(この人の処女出版?『麻雀の遊び方』ってどんなんだろ)

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