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ミステリの祭典

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海峡に死す
旧題「慟哭の錨」

作家 阿部智
出版日1994年06月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2020/07/01 19:07登録)
(ネタバレなしです) 私にとって初の阿部智(あべさとし)(1962年生まれ)の作品が1993年発表の本書で、旧題は「慟哭の錨」でした。個人的には旧題の方が良いと思います。作者は「もちろん本格」とこだわりを見せていますが、意外にも前半はシージャックされた旅客船の事件を扱ったサスペンス小説のプロットです。この事件に一応の決着がついてからの後半が本格派推理小説となる構成ですが本格といっても読者が犯人宛てにチャレンジするようなタイプではなく、大掛かりなトリックの謎解きを軸にしたハウダニット型でした。講談社ノベルス版では作者のことを「海を舞台にした本格派を得意とする大型新人」と紹介しており、確かに本書の海の雰囲気はなかなかだと思います。しかしミステリー4作目となる本書以降は新作が発表されていないみたいです。1994年には勤務先の海上保安庁も退職したらしく、今はどうしているんでしょうか(余計なお世話)。

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