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ミステリの祭典

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Self-Reference ENGINE

作家 円城塔
出版日2007年05月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 ROM大臣
(2024/07/29 14:27登録)
イベントを境に時間の進みは乱雑になり、因果律は乱れ、もはや世界となってしまった巨大知生体たちは互いに演算戦争を繰り広げる。ものすごい速度と密度で披露されるアイデアとギャグに圧倒される。本作の難解さは、膨大な情報量によるところも大きいが、大質的には原理的な理解不可能性に立脚している。そして理解できないことこそが、本作を理解するための糸口にもなっている。
いかに緻密に構成しようとも、そこに含まれないものが存在する。つまり、「全ての可能な文字列」に含まれない文字列が必ず存在する。「私は存在していない」と主張する存在、これがSREである。

No.1 5点 糸色女少
(2020/06/08 20:10登録)
超高度なレベルに達した人工知性体が計算によって、てんでバラバラに過去を書き始めたデタラメな世界を背景に、十八の断章がゆるやかにつながる構成。高度に洗練された科学的、哲学的、文学的ジョーク集のような趣もあり「レムの論理とヴォネガットの筆致」といいう版元がつけたキャッチコピーは当たらずといえども遠からずか。

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