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ミステリの祭典

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修羅の向う側 志田司郎探偵事務所
志田司郎

作家 生島治郎
出版日1999年12月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2020/06/07 02:47登録)
(ネタバレなし)
 1999年12月に刊行のトクマ・ノベルズ。
 もう何冊目かわからない、私立探偵・志田司郎の事件簿(連作短編集)で、今回は8本の短編を収録。各編30~40頁の読みやすい紙幅で、ほとんどの内容が例によって暴力団からみ。悪質な組織から善良な市民を守ったり、ヤクザ内部の揉め事を鎮静化したり、裏の世界から足抜けしたい極道を支援したり、それなりに事件のバラエティには事欠かない。

 今回もミステリの謎解き以外の、人間関係の機微で勝負するお仕事連作みたいな味わいがあって、これはこれで楽しめる。20世紀終盤の都内を舞台にした捕物帖(そんなに読んでいる訳ではないが)みたいな感触だ。もしかしたらメグレシリーズにも通じる、人生の修理人的な趣も……といったらホメすぎか? 

 なお警察を退職して15年という志田司郎のキャラ設定はほぼ固定だと思うが、最後の話「チンピラのピラ」などは『追いつめる』以降の志田司郎主役の長編の後日譚のようである。志田ものの長編はその『追いつめる』しか読んでないから、具体的にどの長編かはわからないけれど。まだまだこのシリーズには未読の長短篇があるから、少しずつ読んでいけば、いずれ、ここで話題にされた過去の事件の情報も見えてくるんだろうな。楽しみである。

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