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ミステリの祭典

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下町の迷宮、昭和の幻

作家 倉阪鬼一郎
出版日2006年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2020/06/06 22:30登録)
田端にある古い銭湯の「昭和湯」の主人が旧式の柱時計を見るうちに…。飛鳥山公園の坂を上るたびに、母親の顔から「癒しの天使」となる女は…。かつての人気漫才師が、古巣の浅草にある蕎麦屋で聴いた歌謡曲は…。三十年ぶりに谷中を訪れた紙芝居屋が、千代紙を買った後に向かうのは…。現代の下町を舞台に、郷愁と恐怖が横溢する昭和レトロホラー。
『BOOK』データベースより。

倉坂鬼一郎がバカミス以前に描いた作品。作風の違いが如実に表れています。これはホラーと言うより幻想小説集でしょうか。ですから怖くはないです、ちょっと不思議でちょっと切ない、そんな雰囲気がそこはかとなく漂っている感じです。因みに昭和の匂いはあまりしません。個人的には郷愁も感じ取れませんでした。
詩的な文章でまさに行間を読むべき作品集と言えると思います。多分普段から純文学を読み慣れた人にとっては、比較的読み解きやすいのかも知れません。ミステリばかり読んでいる読者は、理論優先ではないのでどこをどう楽しめばよいのか理解できない可能性も否定できません。

巻末に作品一覧が載っていますが、あまり読んでないなと。まあミステリの人ではないので、そこまで固執する必要もないですね。

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