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ミステリの祭典

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Vの密室
旧題「シーラカンスの海」

作家 井原まなみ
出版日1990年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 nukkam
(2020/06/04 20:46登録)
(ネタバレなしです) 石井竜生(1940年生まれ)との夫婦コンビ作家で知られる井原まなみ(1938年生まれ)が初めて単独執筆した1990年発表の本格派推理小説です。発表当時は「シーラカンスの海」というタイトルでした。300人以上が集まった名門校の同窓会で1人の女性が毒死します。会場の同窓生たちが容疑者になりますがその1人が今度は密室内でガス中毒死します。ところが部屋のガス栓は事故防止のため針金でぐるぐる巻きにしてありました。この風変わりな密室の謎解きも十分に面白いし、終盤での犯人との対決はドラマチックに盛り上がりますが本書の1番の読みどころは女性ドラマだと思います。第8章での主人公の「主婦をやるしかない女か、仕事をやるしかない女」の二択しかないような思考は現代の読者からすると「頭が硬過ぎない?」と映るかもしれません。しかしバブル経済が崩壊して夫婦共稼ぎが当たり前になる時代の直前に書かれた作品と割り切れば、結構共感できるところも多いのではと思います。

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