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ミステリの祭典

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都会のエデン 天才刑事 姉崎サリオ

作家 高橋由太
出版日2015年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2020/06/01 22:34登録)
夕刻の池袋。一人の男がビルの屋上から突き落とされて死んだ。その妻をさらなる悲劇が襲う。三歳の息子が突然姿を消したのだ!父親の死と関係が?女装の巨漢で毒舌―捜査一課きっての名物刑事・姉崎サリオと相棒の孝太郎が捜査に乗り出す。その背後には、引退した「伝説の警察官」の姿が見え隠れするのだが…。あまりにも切ない「家族の事件」の真相とは?
『BOOK』データベースより。

前作『赤き虚空の下で』の鋭いナイフのような切れ味はないですが、姉崎警部のキャラの強烈さがそれを補って余りある魅力を醸し出しています。マツコ・デラックスにそっくりの姉崎はオネエ言葉も同様で、彼の台詞は私の頭の中でマツコ・デラックスの声に変換されるのでした。それが全く違和感響いてくるので、まるで本物のマツコが演じている錯覚すら覚えます。
事件は一見何気ない、大した謎もないように思えますが、人間関係が複雑に絡み合って悲劇を繰り広げます。それは家族の物語であり、悲しい境遇の人達の心の叫びでもあります。血縁とは何か、絆とは何かを読者の問い掛けているように思えますね。

しかし、この作品はシリーズ化はされないのでしょうか。一部のコアなファンはひそかに待っているのではないかと思うのですが。元々ミステリを書く人ではないので、あまり引き出しがないかも知れませんが、書こうと思えば書けるはずですよ。
読後、無性にポンデリングが食べたくなります。

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