(2020/05/28 21:43登録)
(ネタバレなしです) 1949年発表のダゴベルト&ジェーン・ブラウン夫妻シリーズ第2作で、2人は前作では独身でしたから夫婦としての活躍は本書で始まります。舞台はアメリカのニュー・メキシコで、終盤での乗馬シーンがアメリカ南西部らしさを感じさせます。ジェーンの視点で描かれるダゴベルトの夫としての姿勢は色々と批判が出そうな気もしますが、時に反発しながらもジェーンが許しているのであれば外野がああだこうだと真剣に突っ込む必要はないと思います。とはいえクレイグ・ライス作品のジャスタス夫妻の描写の方が読んでて楽しいのは確かですけど。2人は農場主のミランダを訪れますがミランダが「殺人が起こりそうだ」と発言していることを聞かされ、ようやく会えた時にはミランダは死体となっていました。ダゴベルトの捜査はファーガスン保安官代理からも容疑者たちからも嫌がられるし、ブラウン夫妻の会話も案外と情報を出し惜しみしていて物語のテンポは重めです。推理説明が論理的とは言えず決定的証拠に乏しいきらいがありますが、第17章のジェーンの容疑者一覧メモや劇的などんでん返しの連続など本格派推理小説らしさは十分あります。
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