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ミステリの祭典

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聖悪女

作家 土屋隆夫
出版日2002年03月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2020/05/28 20:35登録)
(ネタバレなしです) 2002年に本格派推理小説である本書が発表された時点で作者が85歳の高齢なのも驚きですがこの後更に長編2作を書くのですからますます驚きです。しかも本書を読んだ限りでは枯淡の境地なんてとんでもない、第8章では自身の「推理小説作法」を引き合いに出してしかもそこからの脱却を目指す実験精神まで見せている、光文社文庫版で500ページを超す充実作です。全体としての完成度は高いのですが気になるのはプロット構成です。第2章で「作者が描こうとしているのは、星川美緒という女性の一代記ではない」と注記していますが、一代記ではないにしろ半生記であることは間違いありません。犯罪が起きるまでに主人公である美緒の波乱の人生が300ページ以上も続くのです。この物語もいい出来だと思いますが、巻末解説の「あまりにもバランスを欠いていると批判されても、仕方ないと思われる」に賛成です。ミステリーと文学の融合を目指した作者ならではの作品ですが、個人的にはもう少しミステリーのウエイトを増やして欲しかったところです。

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