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ミステリの祭典

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怪しの晩餐

作家 牧野修
出版日2013年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2020/05/22 22:18登録)
さまざまな個人情報が取り引きされる名簿屋に勤める折原の元に、見慣れぬ名簿が舞い込んだ。そこには自分の情報の他に、最近世間を賑わしている連続惨殺事件の被害者たちの名前が載っている。一体何の名簿なのか?なぜ自分の情報が?にわか探偵となり謎を探るうちに―。殺人事件と記憶にある食卓の光景、さまざまなピースが嵌まるとき、衝撃のラストが待ち受ける。
『BOOK』データベースより。

怖さより気持ち悪さが際立っています。普通の感覚だと食欲が無くなったりするのかも知れません。まあ私にはこの程度では全然効きませんけどね。
二つのストーリーが並行して進み、やがて一つに収束していく手法はよくありがちですし、オチもちょっと脱力系です。勘のいい人はある程度予想出来る可能性があります。色々な意味で説明不足なのは否めず、最後までどうしても腑に落ちない点がありました。文体は問題ないのですが、ちょっと読者に対して不親切でしょうかね。

名簿通りに殺されていく被害者と、微かな記憶の断片に残る中華飯店の光景がどう繋がってくるのか、その辺りはミステリ的要素を存分に含んでいると思います。どこまでが現実でどこからが虚構なのか判然とせず、据わりの悪さが印象として残ります。でも結局は全てが・・・だったんでしょうね。「食」に対する拘りは強く感じます、テーマはそこにあるのではないかと思います。
でもなんだかんだで面白かったですし、ホラーとして十分に合格点でしょう。

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