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ミステリの祭典

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旅に出る時ほほえみを
別邦題『怪獣17P』

作家 ナターリア・ソコローワ
出版日2020年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 糸色女少
(2020/05/20 20:01登録)
1965年に発表されたソビエトSFだが、社会制度に抑圧される個人の悲哀をナイーブな筆致で描いている。著名な科学技術者である<人間>は、合金製の地底探査機械<怪獣>を造ると、自ら乗り込んで地底を自在に旅するようになる。
当初、<人間>の偉業はたたえられたが、独裁者が彼の行動を危険視したため、社会的に葬られてしまう。そんな<人間>に寄り添うように<怪獣>は、悲し気に歌う。
匿名の<人間>が独裁体制下の個我剥奪を象徴するとしたら、<怪獣>の歌声は沈黙を強いられた魂の旋律だろうか。
前者の世界はダイナミックでスピーディーで混沌としているが、後者は重苦しい停滞の中にある。そしてどちらも、自分らしさによって行き難い社会に挑む人間の気高さを描いている。

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