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ミステリの祭典

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クローディアの秘密

作家 E・L・カニグズバーグ
出版日1975年03月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 tider-tiger
(2020/05/05 18:11登録)
~漠然と現状に不満を持つ少女が家出を決意する。お小遣いをきちんと貯金しているしまり屋の弟を連れて、少女が家出先に選んだのはメトロポリタン美術館だった。~

1967年アメリカの児童文学。子供の日だから、たまにはこういうのも。
優れた観察眼と豊かな感性を併せ持つ作者による少女の成長譚。
子供の心の動きを的確に描き出し、家出先に美術館を選ぶ感性から天使の像の秘密という謎に繋げて、そこから本当に大切なことが導き出されていく展開が素晴らしい。
子供の頃はやはり家出パートが楽しかったが、大人になってから読むと家出から戻ったクローディアが金持ちのお婆さんに呼び出されて話をする場面が無性に面白い。ある種の緊張感、真剣勝負の様相があって非常に読み応えあり。
また小説として、弟の使い方が非常にうまいと思った。

人は誰しも人生においてちょっとした秘密を持つことが必要である。
日本語タイトルは問題ないと思うが、原題『From the Mixed-up Files of Mrs. Basil・E・Frankweiler』にも意味はある。原題にあるMrs. Basil・E・Frankweilerが前述した金持ちのお婆さんである。
自分のつけた点数以上にいい作品だと思う。

※NHKの子供番組みんなのうたの人気曲『メトロポリタン美術館』の元ネタとして有名な作品。wikiではこの元ネタ説について要出典とあったが、出典もなにも設定から登場人物から持ち物までまるで一緒なので疑う余地はあまりないのでは。

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